――知らないよ、そんなの………。勝手に帰ろうとしたのは悪かったと思う。
だけど…、断るのはあたしの勝手。神藤くんは全く関係なくて……。
「――っ、絶対嫌!あたしは、教室に戻るの!!」
そう言って神藤くんの手から逃れようと、力の限りおもいっきり腕を振って抵抗するけど。
そんな抵抗、男の人の力に勝てるハズもなんかなくて、無駄に終わり。 ――むしろ、神藤くんがあたしの腕を掴む力が余計に強まった気がした。
「……離してよっ」
「――嫌だね。オレの提案を呑むまでこのまま君は逃がさない」
「……なんで…どうして…?」
「――オレにはどうしても――カモフラージュ役の彼女が必要なんだ。だから…1ヶ月いや2週間でも良い。だから……お願いだ。考えてみくれないか?」
そんなに必死になって『考えてみてくれないか?』なんて言わたら、どうして良いかわからなくて困るよ……。
「ど…どうしてそんなに…。それは絶対に…あたしじゃなきゃダメなの?」

