「オレのこと知らないっつったやつに会うの、初めてだ」


「…………?」


 そりゃああなたのことを知らない人くらい1人や2人はきっと……。
 だって現にあなたの目の前に1人いるし。
 まあ同じクラスになった人以外に、興味がないあたしが言うのは説得力がないかもだけど……


「――その様子だと、ホントに知らないみたいだな、オレのこと」


「…だからさっきから名前教えてって言ってるんだけど。っていうか同い年でしょ?」


 もう、敬語を使うのもバカらしくなって、タメ口で話した。
 どうせ同い年だしタメ口でも大丈夫……なハズ。


「……っていうか、用件ないならあたし教室戻るけど?」


 まあ…あるから呼び出されたんだろうけど。
 だけどいっこうに用件を話してくれる気配が見当たらないから。


「――わかった。じゃあとりあえず自己紹介するわ」


「…今さら……?」


「3年D組神藤 宏樹[シンドウ ヒロキ]だ。ひろって呼んでくれ。一応サッカー部所属。他の部活は助っ人として活動してる」


 サッカー部…?うーん、知らないや……。


「それで…神…藤くん?あたしになんの用があるの?」