なんてことを何回考えただろう――そんなある日。 私は彼に出会った。 いつものように、私は時計台の様子を見に公園に訪れていた。 何十年も同じことをしていれば、無音無動作で魔法を使うことだって容易くなっていた。 だから今も時計台の前で突っ立っていたのだけれど、ふと背後から視線を感じた。 振り返るとそこには。 私をジッと見つめる黒い瞳。 ツンツンとした短髪。 握られた手には血が滲んでいる、そんな少年がそこにいた。