それでも まだ期待してる。 待ってる。 ケンジさんの唇の感触が忘れられない。 私はケンジさんの店に電話を掛けた。 電話に出たケンジさんは、よそよそしい声で。 『リコちゃん、どうしたの?』 どうしたの?どうもしないし。 『もしもし?』 ケンジさんがキスしたから。 『もしもし?』 『ケンジさん、どうしてキスしたの?』 電話の向こうでケンジさんは無言。 暫らくの沈黙の後… 『ごめん、仕事中だから』 『じゃ、終わったら電話して。メールでもいい』 『わかったよ。じゃあね』 電話は切れた。