今は多分、二十一世紀の始めらへんだろう。

去年、と言うか今年の三月に区立、空森高等学校(そらもりこうとうがっこう)に受かって、友達と喜びを分かち合った。

でも、今はあんな地獄のような日々を忘れて、過ごしている。

本当に受験は戦争だな…

入学式も終え、新しい生活にも慣れた。

今は五月。僕は既に五月病になっていた。

だるいなぁ…

次の授業は数学か。だるいなぁ…

僕はとてもだるかったから、机に寝そべった。

「黒山くん!黒山宏一(クロヤマ・コウイチ)くん!」

だるいのを我慢しながら、顔を上げてみると、白川(シラカワ)さんがいた。

「次の授業、そこ私の席だから、どいてくれると嬉しいな」

「あ、うん…」

僕はすばやく数学の授業に要るものを用意して、自分の席から離れた。