十人十恋-じゅうにんとこい-

芝生の上に座っても、玲は立ったまま、俺を見た。

パンツが見えそうだ。

「ハルくんは、ぽっちゃりした女の子、スキ?」

「別に、普通の領域だったら良いけど」

「普通の領域って?」

「さあ?俺の認める範囲って言ったほうが良かったかもな」

「じゃあ、ハルくんは私のコト、スキ?」

・・・・・

・・・



「え?」

「聞いてなかったの?二回も同じコト、言わせないで。恥ずかしいんだから…」

俺は耳を疑った。

『スキ』って?

あの恋とか愛とか言う奴の…“好き”っつー奴か?!

「私、ハルくんのコトが好きなの」

逃げたら、ダメだよな?

ここで、逃げたら男じゃないよな?

つーか、好きってどういうコトだ?

俺達は十分くらい、沈黙だった。

好き。そもそも、玲はどうして俺のコト好きなんだ?

俺より、イイオトコがいるだろ。

いや、玲がイイオトコを選んでも、俺が嫉妬しそうだ。

ちょいまて、何で俺が嫉妬すんだ…?

…コレがもしかして、『好き』と言う奴なのか…

自問自答で自己解決しちまったけど、俺は返事をしていなかった。

玲は足が疲れたのか、俺の隣に座り始めた。

返事しないまま、玲が先に口を開いた。