「今年の忘年会はどうします?
どこにするかとか目星ついてますか?」


やっぱりな。


俺はこの樫村医院の息子なので

金持ちだと思われているのか

毎回僕か親父が払う。


お前らと同じ給料をもらっているのに、

言ってやりたいが、

ちゃんと仕事をしてくれている分、どうしても言えずにいた。


「まだ決めてないな。
西野さん達で好きなところ決めれば良いよ」


話すのが面倒なので
そう答えると、

彼女は笑顔で

「そうですか
じゃあ、決まったらまたご連絡致しますね」

そう言って診察室を去っていった。


病院は嫌いでは無いが、
こういう
人間のあれこれは正直面倒だし、嫌いだ。


「最後の奴、戸締まり頼むよ」


僕はそう言い残し、
病院を後にした。