想い出の宝箱



「だから、今心配なのは
華穂だってば」


俺は少しイラだちながらも
笑顔で華穂に言った



「じゃあ、私と付き合ってくれる?
私、翔太くんのこと好きなの」



嬉しいはずなのに
「俺も好き」って言葉が出なかった



華穂のことが好きなはずなのに
体がそれをダメだと言っている気がした



なんでか悩んでいると



―――翔太のことが好きなの!!――――

誰の声かわからないけど
頭の中にその言葉がよみがえってきた



「なにこれ・・・・?」



この声がなんなのか
誰が言っているのか分からないけど
ひどく懐かしい気がした



その声が華穂の告白を
拒否しているようだった



それに、俺の昔の記憶もそれを拒むように
「好きだ」という言葉が出てこなかった




「ごめん、俺付き合えない」


「だよね、私分かってたよ」

「え・・?」

「私が昔翔太くんと付き合ってたって
思ってたでしょ?

違うの。ただ私は前から
翔太くんが好きだったけど
勇気がなくて言えなかった

記憶をなくした翔太くんに近づいて
仲良くなろうとした最低な女なの」


さっきやっと止まった涙がまた
華穂の頬を伝う


「記憶がない翔太くんに勘違いをさせて
好きって思わせた・・・ごめんね」