「で、意味の分からない映像って?」
広瀬が思い出したように
聞いてきた
「あぁ、こんなこと言っても
お前らには分かんねぇかもしれないけど・・」
「いいよ、言ってみて」
分からなくてもいい
翔太が思い出したことが知りたい・・
「麦わら帽子をかぶった小さい子が
ブランコ乗ってんだよ、一人で
どーでもいいことなんだけど
俺その映像が頭をよぎったとき
めっちゃ声が聴きたくなったんだよ」
「声?」
広瀬が不思議そうに聞いた
「そう、声。その子の顔は見れなかったし
その子と俺が昔あったのかもわからない
だけど、その子の声が無性に聞きたかった」
麦わら帽子
ブランコ
私と翔太が初めて会った時だ
そして初めて会話を交わしたとき

