何度壁を叩こうとも、殴ろうとも誠は帰って来ない。
分かってる。分かってるんだ。
でも何かに当たらなければ、今の俺の気持ちを発散する事…出来ない。
なんでだよ…なんでなんだよ。
握りしめた拳から流れ出る鮮血…
誠はこんな風に血を流して死んだんだろうか…
もしそうなら…そこまであいつを追い詰めたのは何だった?
誠が連絡無しに、突然会いに来たのは…俺に別れを告げる為?
もしそうなら…なんであいつの雰囲気とか会話とか、そういうものから気付いてやれなかったんだ…
もし…俺が気付いてやれていたら…
少しはあいつの力になれたかもしれない…
あいつを死なさずに済んだのかもしれない…
なのに。
なんで俺は気付いてやれなかったんだ…?
ごめん。ごめん、誠…。

