『あの日あの時のお前の決断が間違ってたかは分からない…
お前の美紀ちゃんだけには自分の体の事で心配はかけたけない。咳ばかりする自分に嫌気をさしてほしくない…そう思うお前の気持ちも分かる。
でもな?美紀ちゃんはお前が離れていく事を願ったか?
美紀ちゃんの性格なら…』
そこまで言った所で誠は言葉をやめた。
まるでお前の方が分かってるだろ…みたいな感じの顔付きだった。
でも、誠がやめた言葉の続きは俺にも分かる。
“美紀ちゃんの性格なら拓哉の体を治すんだって頑張るよ。
美紀ちゃんならきっと拓哉の傍にいるよ”…だろ。
『美紀ちゃん、今でもお前の事を想ってるんじゃないかな…』
誠はそう言って笑った。
そして、これが誠の笑顔を見た最後だった。

