大樹は自転車を手で押しながら二人で歩いて帰っていた。 「ってか今日は部活ないの?」 「今日は休みなんだ。バレー部が試合近いらしくて」 「そうなんだー」 「大樹ってまだ呼んでもいいよね?」 「いいよ」 「私の事、覚えてくれててよかった…」 さっきまで前を向いて笑っていた顔を大樹の方を向いた途端 白い歯を見せた笑みで大樹は私を見ていた。 「忘れるわけ、ねぇだろ?」 声変わりした低い声にドキッとする私。 あの頃よりも随分高くなった背丈。 何もかも新鮮だった。