雨宿りの出来る郵便局の庇まで、私は全速力で走った。雨が跳ねてスニーカーの脇から染み込んでくるのがわかってどうも気持ちが悪い。ひんやりした感触は体感温度を低くする。


乱れた息を整えながら空を見上げた。雨足は強く、しばらく弱まりそうにないように思えた。



「傘…持ってきてないのになぁ」


つぶやきながら鼻の頭に落ちた冷たい雨粒を拭った。傘どころか体を拭うタオルすらも持ってきてはいなかった。水はまるでひっくり返したバケツの水を全身に受けたようにずぶ濡れとなり、一応大切にしていた通学バッグも中がしっとりと湿っていた。教科書がすっかり萎れていた。


辛うじて、鞄の底に仕舞っていた携帯は無事だった。友達の真由美からの