「では、皆さん


いつも通り

練習して下さいね


愛ちゃんと実莉ちゃんは

ここに残って」



実莉は

自分の名前を呼ばれる

身構えが出来ておらず、



びくっとする。




他の部員が

自分の練習場所へ移動し、



音楽室には


4人だけが残される。




「うちの部活の役員です」


宏子先生が紹介してくれる。



「部長の長崎愛です

クラリネット担当です

これからよろしくお願いします」



愛がはきはきと挨拶する。



実莉は明らかに

自分の番だとわかりつつ、


なかなか口を開けずに

目を泳がせていると


先生が口を開いた。



「お前は?」



泳がせていた視線を


先生に向け、


目を合わせると


実莉は自分の頬が

少し赤らむのを感じた。



「副部長の北原実莉です

フルートを担当させて

もらってます


よろしくお願いします」



実莉はぺこりと頭を下げる。



宏子先生が


「この部活の事は

私よりもこの二人が

よくわかっています


わからない事があったら、

わたしよりも

この二人に

聞いて頂いた方が

良いかも知れません」



と言うと、

「わかりました。

ありがとうございます」


と先生が返す。