再び問うと、同時に、目の前に一組の男女が現れた。

 男の方は、本当に長い黒髪に黒い瞳を持っている。

 髪は本当に長い……。

 もしかしたら、腰まであるんじゃないの? って思うくらい。

 女の方は、薄い茶色の髪に、焦げ茶色の瞳。

 こっちは腰の少し下までの髪。

 でも、痛んでそう、とは思えない程にきれいな艶がある。

 絹糸のような髪って、こういう髪のことを言うのかな。

 こんな時だけれど、羨ましい、と素直に思った。

 っていうか……誰、このやたら髪の長い人たち……。



「初めまして、かしらね。小野蘭花」


「な……んで、私の名前を知ってるの?」


「まぁ、細かいことはいいじゃないか。オレたちに何か聞きたいことはあるか?」



 溜息をつく。

 あるに決まってるじゃない。

 何を聞いてるのだろう、この人たちは。



「たくさんあるわ。……あなたたちは誰? ここはどこ? なぜ私はここにいるの?」



 私の三つの問いかけに、二人は揃って肩をすくめた。 



「じゃあ、順番に教えてさしあげるわ。まずはわたくしたちのことかしら?」


「詳しいことは後でわかる。とりあえず、オレのことはサノと呼んでくれればいい」


「わたくしのことはシイナで構わなくてよ。よろしいわね?」



 な、何かが見える!

 脅しだよねコレ!?