「 あの・・紫さ・・・っ 」
「 アレが、米原龍弥よ 」
”アイツは負けないわ”と
真剣な表情の紫さんは
もう酔ってはいなかった。
「 山本ってね、意地っ張りなの。
寂しいときに、寂しいって言わないで
1人で我慢して待ってるの 」
「 ・・・・ 」
「 親友の龍を心から信頼して
2人でトップに立っててね?
仲間もたくさん・・いたの 」
はじまったのは、龍弥の昔話だった。
すぐ隣で、薄い壁の向こうで
龍弥と山本が喧嘩していて
同じ空気を吸ってるはずなのに
ココだけは違う場所のように
あたしも紫さんも落ち着いていた。