佐野の顔から笑顔は消え、少し視線を落とすと 小さく溜め息をついて呟いた。

佐野:「…キスしてくれたら教えてもイイよ…」

一瞬にして言葉を失うと同時に耳を疑った。静まり返った部屋で必死に言葉を探していると、何も知らない奈々沢が部屋に入ってきた。何事も無かったかの様に、いつもの空気が流れる。

一ノ瀬:「奈々ちゃん…」
奈々沢:「やっぱり渡がいたか(笑)」

いつも通りたわいのない話が始まる。しばらくして武田も合流すると、いつもの4人の空間が出来上がる。誰が欠けても増えても、こうはならないこの空間が何よりも心地よくて安心する。そんな時間を当たり前の様に過ごしていた。