そんな笑い話をしている時だった。突然頭の中に沸き上がった記憶が、竜巻の様に蒼の身体の中を突き抜けたのだ。

一ノ瀬「…あ…」
奈々沢:「どうかしたか(笑)?」
一ノ瀬:「……」
奈々沢「どうした…蒼?」
一ノ瀬:「…ねぇ…ちょっとイイ…?」

奈々沢の腕を掴み、歩き出す私に奈々沢はきょとんとしている。

奈々沢:「お、おい、なんだよ…どうした?」
一ノ瀬:「あれ?…アタシ…」
奈々沢:「え?」

土が積まれた小さな山とトンネルがある公園の隅で足を止めた。

奈々沢:「…蒼…?」
一ノ瀬:「…ココで…間違いないよね…?」
奈々沢:「…な…なんだよ…」
一ノ瀬「あの夢…私がずっと見てたあの夢…思い出したの」
奈々沢:「…唐突だな(苦笑)」
一ノ瀬:「ゴメン…アタシ…知らないとか忘れてるとか…散々なコト言って…」