「おにいちゃん?」 「ん? 何?」 しがみついていたゆのが、 不意に俺の体から離れ、 心配そうに言う。 「きょうはくらいよ? どうしたの?」 俺にとって図星となるその言葉は、 俺を少しだけ混乱させた。 「ん、何でもないよ? 気のせいじゃないかな?」 そう言って笑って誤魔化し、 もう学校に行かないと 遅刻するからという理由で 俺はその場を後にした。 ゆのは、今回だけは 俺の後をついてこなかった。