「おにいちゃん、あのね、 いまのくるまのなかにね、 ケムリのモノノケが たっくさんいたんだよっ!」 幼く、何の穢れも知らない、 幼児独特の可愛らしい笑みを めいっぱいに溢しながら、 俺の制服の裾にしがみつき、 ゆのが今の感想を得意げに述べる。 「そっか、じゃあ、 煙草でも吸ってたのかな?」 「うーん、そうなのかな」 眉間に小さなしわを寄せながら 唸るゆのをみて、 俺の頬から無意識に笑みがこぼれた。