『無題
簡潔に言うと、
レイは、鞘野を護れなかった訳だ?
護らないといけない存在に護られて、
それで、よく、
のこのこと帰ろうなんて思えんだ? 』
豊の言葉は深く胸を抉った。
豊の言葉は、
認めたくなかった俺の心情を
そのまんま書いていた。
俺は、ぶらん、と
携帯を持っていた右手を下げて、
小さく笑った。
「んなの、わかってるっつーの…。」
後には、
もどかしさしか残らなかった。
携帯を開いたまま、
右手に持ったまま、
駅に向かい、電車を待つ。
電車は、10分後に来た。
俺はその電車に乗り込むと、
ガラガラだった座席に座った。



