病院の自動ドアが
ゆっくりと開くのをせかすように、
無理やりにこじ開けながら、
1組の夫婦が
病院に転がり込んできた。
夫婦はとある方向に走っていく。
そこは、君が眠っている部屋へと
続く道だった。
ぼんやりと、
2人が走っていくのを見届けながら、
何となくあの2人が、
凛の両親だと思った。
しばらくして、
2人が走って行った方向から
歩いて姿を現した。
女性のほうは、
男性のほうに支えられながら
声を殺して大粒の涙を流し、
男性のほうは、
女性を支えながら、
悲しさを堪えるように
厳しい顔をしていた。



