僕の彼女は幽霊で


病院について、
君は、担架から
ベッドのようなものに移され、
緊急治療室へ運ばれていった。

止血の済んでいた俺は
走って、君の横たわっているベットに
ついて行った。

後ろから誰かが
俺を呼びとめていた気がしたが、
俺は完全無視した。

君の呼吸音がか細く聞こえた。

「り、ん。」

今にも涙が出そうになりながら
君の名前を呼んだ。

「ん、」

君の閉じきっていた瞼が開いて、
俺を捉える。

「鈴弥くん…。」

いつもより小さくて、
聞き取りにくいはずの声が、
俺の耳に響いた。

君の右手が俺のほうへ向けられる。

「ね、ぇ」

君の右手を両手で包んだ時、
君がそう声を発した。

それは今にも消え入りそうな声だった。