男が果物ナイフを取り出して、
俺に走り寄ってきた。
俺は横によけて、
男に回し蹴りを繰り出した。
特に、
柔道や合気道の経験はない。
喧嘩で培ってきただけだった。
男は倒れた。
俺はうつ伏せに倒れた男を
仰向けにして、首を絞めた。
ゆっくり、
少しずつ力を入れて、
男が右手に握っていた果物ナイフが
俺の頬を掠める。
血が頬から流れる。
思ったより深く切ったらしい。
血は、止まりそうになかった。
俺は力を入れた。
男は苦しがって、
声を上げた。
「が、あああああ!!!」
男の果物ナイフが俺の腕に刺さった。
「ぐ、あぁ…っ」
腕に走る激痛に俺は声を漏らした。



