ダルターニの長い一日

(僕がシュレイツの目を真っ直ぐ見て真面目に応えると、シュレイツは、僕を抱き締めてくれた)



『それでこそ、この国の王子です。よく言いいました。男に二言はありませんね?』

『うん。僕がスープを全部飲める様になったら、父上は喜んでくれるかな?』

『ええ、勿論ですとも。きっと何か素敵なご褒美をくれるに違いありません。それに、きっとその時は、国王陛下もご一緒にお食事をとってくれるかもしれませんね』

『父上とお食事!?わ~い、楽しみだな!!』



(・・・・・そう、シュレイツがいたから、シュレイツが一生懸命応援してくれたから、僕は嫌いな野菜スープがやっと飲めるようになったのに・・・・・。

父上が忙しくて同じ城内に住んでいるのに会えなくても淋しくなかったのに・・・、きっと、僕の家庭教師として、世話役としての任務から離れたシュレイツは、今は僕の知らない処で、その姫君とやらに同じ事を言って励ましているんだ。

もう、僕の事なんかどうでもいいんだね?)




(気が付くと、僕は瞳にいっぱい溜めていた涙を抑え切れなくなっていた)