ダルターニの長い一日

『グリーンパールが可哀想・・・・・』



(シュレイツは、僕の頭をなでて話を続けた)



『グリーンパールだけではありませんよ。スープの中に入っている、他の野菜達も、皆同じです。それに、王子の為にあんなに高い山に登って、グリーンパールを積んできてくれる人達や、野菜を作ってくれる農民、そして食事の用意をしてくれる使用人達の苦労も無駄にしてしまい、王子が食事を残す度にがっかりさせてしまうんだ』



『うん・・・・・・』



『王家の者はね、風邪を召したり、病に倒れたりすると、それだけで国の民達に不安を撒いたり、下手したら国民達の納める税金をその病の治療の為に使わなくてはならなくなってしまうし、国を治める跡継ぎである王子が、病気のせいでその命に万が一の事態が起きてしまった場合、国王亡き後、誰が国を治めるのか?それを考えたら、万病を寄せ付けない様、健康な身体を作って行かなければならないのですよ。

使用人の皆がそう思って、王子の健康の為にこのグリーンパールをスープに入れて、なるべく苦くならないように味付けしてくれているのです。王子にはその気持ちをちゃんと考えて、残さないで食事を取ってもらいたい』


『・・・うん、わかったよ、シュレイツ。そうだね。僕食事を残さないように頑張るよ』