ダルターニの長い一日

『シュレイツ、僕、これ食べてみたい。キャンディーみたいで美味しそうだよ』



(僕は、シュレイツの掌からそれを一粒つまんで口の中に放り込んだ。こんなに小さくてキラキラ輝いている、宝石のような野菜は、まるで本当にキャンディーのよう見えたから・・・。

でも、それを上の歯と下の歯でプチッと噛み潰した瞬間!口の中にその汁が弾け、その舌をちぎって投げ付けてしまいたい程、想像を絶する地獄の味が充満したんだ。慌てて、口の中のものをペッと吐き出してしまった)



『うわ~っ!!苦いよ苦いよ!シュレイツ助けて!うわあ~っ』

『王子、しっかりして下さい!さあ、お口を開けて』



(そういえば、あの時シュレイツは、顔をグシャグシャに泣き叫んでいた僕の口に、甘酸っぱい果実の味のキャンディーを放り込んでくれたんだっけ。すぐに僕の口の中からあの地獄の味は消え、甘くて酸っぱいモレンジュの風味が広がって、僕は泣きやんだ)



『こんなに苦い野菜を食べたのは初めてだよ。こんなに綺麗なのに』

『この野菜はね、王子、王子が嫌いなディナーのスープの中に入っているんですよ』

『あのスープ、だからあんなに不味いんだ!僕絶対に飲まないもんね!』