ダルターニの長い一日

夕食の時間が近づくと、いつも僕はだだをこねていた)


『嫌だよ!だって、またあのスープを飲まされるんだもの。今日はクッキーをいっぱい食べたからお腹は空いていないよ』



(そんなふうにいつも、夕食から逃げようとしていたのに、ある日・・・・・、シュレイツは僕に“グリーンパール”って言う名前の“あるもの”を見せてくれた)



『王子・・・・・、今日は王子に良い物を見せてあげましょう』



(シュレイツが、床に片膝を落とし僕に視線を合わせると、後ろ手に隠し持っていた、それを僕の目の前に掲げた)



『うわぁ、綺麗!シュレイツ、これ何?』


 
(シュレイツは、僕に微笑みかけながら教えてくれた)



『これは、“グリーンパール”って言うんです』

『真珠なの?』



(シュレイツの両手の中で、キラキラと緑色に輝く宝石大のそれを初めてみた時、まさかそれが、あのスープの不味さの元だなんて思いもしなかった)

『いいえ、このグリーンパールと言うのは、ダルターニ北山脈にある“ダルターニエベスト”と言う休火山の火山口の周りに育つ野菜なのです』

『野菜~?! これが~!』