ダルターニの長い一日

「野菜スープが飲めるようになった?それ位たいした事ないじゃないか。僕が野菜スープが飲めるようになった時は、父上はそんなに大げさに喜んではくれなかった。・・・・・それは僕が男の子だから?エルがあの不味いスープを飲めるようになったら、父上はさっきと同じように喜んでくれるのかな?」



ハーリーが野菜スープが飲める様になったのも、五つの時。エルミラーラも二日後には五歳の誕生日を迎える。エルミラーラだってすぐに飲めるようになる。と、ハーリーは思った。



「僕が野菜スープを飲めるようになったのは、シュレイツのお陰なのに、アンナはエルが好き嫌いをしても何故、何も言わないのだろう?」



目を閉じると、今でもあの時の事はしっかりと思い出すことができる。


(まだ、一人でまともにスプーンも持てないような、幼いエルと僕の食事の時間。でも、いつも二人きりではない。エルの傍にはアンナがいて、僕の隣には必ずシュレイツがいた。

エルはアンナに美味しそうなシチューを飲ませてもらっているのに、何故か僕は、不味そうな青い色をした汁のスープを飲まされるんだ。飲むとこれが本当に不味くて。