ダルターニの長い一日

「三日も城をお開けになるのですか?」

「なあに、気にする事はあるまい。燐国のパーティーに呼ばれてるとでも言って、ついでにゆっくりしてくるとでも言っておけば良いではないか。年に一度の誕生日だ」

「しかし、陛下・・・・・エルミラーラ様のお誕生日でもあるのですよ」

「あれは大丈夫だ。あれはハーリーになついておるから、ハーリーさえいれば良い。それに私は国王で忙しい。誕生日に親子水入らずでいられるなんて奇跡に近いと思っておるからな。この私にとっては、今は亡き最愛の妻ジュディッサが私に残した忘れ形見であるあの娘が、この命以上に大切なのだ」



(・・・・・・?!い、いったい何を話しているの、父上?)



ハーリーが、はっきりと聞こえてくる王の言葉の意味を、理解するに至るまで時間がかかった。


(最愛の妻ジュディッサって・・・・・誰?僕の母上の名前はレノンだよ?!“あの子”っていったい誰の事?“皇太后”ってお祖母様の事だよね。お祖母様は前国王のお爺様がお亡くなりになってから、ご実家にお帰りになったって聞いてたけど・・・・・、そこに“あの娘”がいるの?)