先程のシュレイツの様子がどうしても気になって、ハーリーはシュレイツのいる筈の王室の前まで来てしまっていた。
扉の向こうから、国王エルストン二十一世の高らかな笑い声が聞こえてきた。いつも冷静で毅然としている父親の笑い声など、ハーリーは、生まれてこのかた聞いた事がなかった。
(父上、何を楽しそうに笑っているの?)
立ち聞きなどはしたない、・・・と思いつつも、ハーリーはどうしても気になって会話が聞こえるように扉へ耳を近づけてみた。
扉の向こう側から聞こえてくるシュレイツと国王の会話は、シュレイツの業務報告と言うより、雑談にしか聞こえない。
「――初めはストローで飲んでみたら、少しはおいしくなるかも・・・・・と言って、冷め切ったスープをストローで飲んでみたのです」
「そ・・・それでどうした?」
「それが想像を絶する不味さだったのか、飲み込む事もできず、一度口に含んだものを吐く出す事など、もっての他と心得ていてか、口の中にスープを入れた儘、瞳いっぱいに涙を溜めていたんです。そして泣きそうな瞳で皇太后に助けを求めていたのです」
「そ、その口の中のスープはどうなった?」
「はい、それが結局、口から出してしまいましてね、『御免なさい、御免なさい・・・・・』って何度も泣きながら謝っておりました」
「私を喜ばせる為に、そんな事までして頑張ったのか。・・・・・ようし、三月も会えなかったのだ、その分今度の誕生日には三日間つきっきりでいてやろう!」
扉の向こうから、国王エルストン二十一世の高らかな笑い声が聞こえてきた。いつも冷静で毅然としている父親の笑い声など、ハーリーは、生まれてこのかた聞いた事がなかった。
(父上、何を楽しそうに笑っているの?)
立ち聞きなどはしたない、・・・と思いつつも、ハーリーはどうしても気になって会話が聞こえるように扉へ耳を近づけてみた。
扉の向こう側から聞こえてくるシュレイツと国王の会話は、シュレイツの業務報告と言うより、雑談にしか聞こえない。
「――初めはストローで飲んでみたら、少しはおいしくなるかも・・・・・と言って、冷め切ったスープをストローで飲んでみたのです」
「そ・・・それでどうした?」
「それが想像を絶する不味さだったのか、飲み込む事もできず、一度口に含んだものを吐く出す事など、もっての他と心得ていてか、口の中にスープを入れた儘、瞳いっぱいに涙を溜めていたんです。そして泣きそうな瞳で皇太后に助けを求めていたのです」
「そ、その口の中のスープはどうなった?」
「はい、それが結局、口から出してしまいましてね、『御免なさい、御免なさい・・・・・』って何度も泣きながら謝っておりました」
「私を喜ばせる為に、そんな事までして頑張ったのか。・・・・・ようし、三月も会えなかったのだ、その分今度の誕生日には三日間つきっきりでいてやろう!」

