ルカが言った、その刹那。


ズドーンっ!!

部屋のドアは豪快にぶち壊され

煙の中に、ぼんやりと影が現れた。


煙が薄くなると、徐々にその正体が見えてくる。


――男だ。

それも、目元がルカにそっくりの。



「やぁ、シキ。
久しぶりだな」



……なんだ

この、胸がざわつく声。


光りを全て奪いつくすような、冷たい声だ。



「ヘイリ様、またお会いできて光栄でございます」



シキは、その男の前で跪いた。


コイツが、ルカのお兄さん……


目元や口元はルカにそっくりだが、ルカを何千倍も性悪にした顔をしている。


背中に背負う闇

ルカとは格が違う……



「兄上。
お言葉のようですが、ここは兄上のような方が来られる場所ではございません。
魔界へお戻り下さい」


……え

ちょ、ルカ……?


あんた…なに跪いてんの?