「気に食わないって……
お母さんは違えど、二人は大悪魔の息子だろ?
だったら、二人に王位継承権が与えられて当然じゃないか。
っていうか、ヘイリが長男なんだから世継ぎはヘイリなんじゃないのか?」


私が当たり前のように言うと、シキは煮え切らない表情で私を見た。


「それが……
フラン様は、ご自分の次に大悪魔に相応しいのはルカ様だと」


「え? どうして?」


私が目を丸めてシキに聞いた

その時だった――…


「シキっ!!!!」


バンっ!! と、物凄い音を立ててドアを開け、ルカが部屋に入ってきた。


それと同時に、ゴゴゴゴッ!!

と、床を伝う低く嫌な音。


「……え、なに?」


キョトンとする私とは対照的に、シキはルカの行動で何かを察し、私を勢いよくベッドに引っ張った。


「サラ様、手荒なマネをお許し下さい」


ルカとシキは私を隠すようにベッドの前に並び、ルカが何やら呪文を唱え出した。



「おい、ブス。
できるだけ息をするな」


……なっ!?

また息をするな…って


そんなことしたら、私死んでしまうわっ!!


「結界を張る。
絶対、物音を立てるな」