そうだったんだ。


チヅルさんとフランさんは、お互い想い合ってるのに一緒にいることを許されなかったんだ。

相当、辛いだろうな。


「あの人は、たまに私に会いに来てくれるの。
もうこんなおばあちゃんになってしまったけど、あの人はあの頃と何一つ変わることなく、私を愛してくれているわ」


「すごく素敵ですね」


私が言うと、チヅルさんは切なく微笑んでバラに目を向けた。


「でも、時々とても会いたくなる時があって。
そんな時は、こうやってあの人が大好きだったこの花を眺めて気を紛らわせているのよ」


チヅルさんから、フランさんへの愛が痛いほどに伝わってくる。


フランさんの話をしている時のチヅルさんは、少女のような横顔だった。


「私はね、あなたがここへ来てくれてとても嬉しいの」


「え? なぜですか?」


「あなたは、きっとルカの心を変えてくれるから」