そっと、ルカの右頬に手を伸ばした。


痛々しい、傷。

血が滲んで、頬が少し汚れていた。



「さ、触るなっ!!」


私の手が頬に触れるか触れないかのところで、ルカに手をはじかれた。


自分から私に近づいてきたくせに、不愉快そうに私からさっと離れた。


「な、なんだよ、いきなり」


私がベッドからおりると、ルカは私から逃げるように後ずさりを始めた。


「なんで逃げるんだ。
ちょっと、こっち来てよ。手当するから」


私は、スカートのポケットから絆創膏を1枚取り出した。


後ずさりを続けるルカを壁まで追いつめて、頬に絆創膏を貼ってやった。


「その傷。
向こう(魔界)でつけたのか?
ただ会議に出てただけだろ?どうしたらそんな傷ができるんだよ」


私が聞くと、ルカは突然私の肩を突き飛ばした。


「いったいなぁ!!
いきなり何するんだ!! 人が親切に手当てしてやったのに!!」


「黙れっ!!」


ルカの大声が、私の鼓膜を貫いた。

ジーンと、痛む。