マンガの入った紙袋を抱え、家を出た。


雲の隙間から顔を出す太陽が、完全に起ききっていない私を呆れたように見ていた。


初夏の日差しはとても気持ちいいはずなのに。


何かが胸んとこに引っ掛かってて、なんかスッキリしないんだよな。


忘れちゃいけないことを忘れてるような……


なんだ……?


梓から借りたマンガは持ってきただろ?


教科書は全部教室に置きっぱだし。


他に、何を忘れてる?







「おっはよ!!!!」


ドンっ!!


廊下を歩いてる時に、後ろからぶつかってきたのは梓だった。


「……はよ」


「なになに?
朝からそんな眉間にシワ寄せちゃって」


梓が、難しい顔をする私を覗き込んできた。


「いや……
なんかさ……変な夢みたんだ」