俯きながらボロボロと涙を零す私の視界に、ルカの足が映った。


パっと顔を上げる。


涙で歪むルカの顔。


けれど、その顔はとても優しい表情をしているってことはわかった。



「……サラ」


ルカの指が、私の目元に伸びてきた。


優しい手つきで涙を拭ってくれる。


「サラ……。
おまえは、ここで私達と共に時間を過ごすことが出来て、幸せだったか?」


コクンと頷く。


「恐ろしいことばかりだったと思うが、おまえはこの国が好きか?」


またコクンと頷く。


私は自分で涙を拭い、ルカの顔をしっかりと見た。


私の大好きな、ルカの微笑み。


「おまえは」


しかし、徐々に、ルカの瞳に涙が浮かびはじめた。


「俺のこと、好きか?」


そんなの、決まってんじゃん。


「好きだよっ!!!!
大好きだよっ!!!!」


私が泣きながら言うと


ルカも涙を流しながら、ムリに微笑んだ。


「よかった……」


嗚咽をこらえるルカ。


私の腕を強く引っ張ると



「サラ、別れだ」


私の体を、遠くに投げた。


よろける私の体。


「元気で」



ルカのその言葉を最後に――…


私の体は

暗い暗い闇の中に

落ちていった。