私は、ルカと2人で魔界へと続く階段を下りた。


相変わらず薄暗くて、肌寒い階段。

長く続く階段は、風が吹く度に低い唸り声を上げた。



「ルカ、ごめんな」


私は階段を下りながら、隣のルカに言った。


「なぜ、謝る?」


「だって、私、おまえのことずっと誤解してた」


「………」


「性悪で、自己中で、口が悪くて。人間が大嫌いで。
悪魔だかなんだか知らないけど、ふざけるなって、おまえのこと大嫌いだった」


私が言うと、隣のルカは鼻で笑った。


「でも、おまえ、あれだったんだな。
今までおまえの教育係としてここに来たヒトの血を吸ってすぐに人間界に帰していたのは、チヅルさんのように傷付けたくなかったからなんだよな」


「………」


「だから、私の血もあんなに吸いたがって。
人間嫌いのフリをしていたんだよな」


「………」


「ごめん。
私さ、基本自分のことでいっぱいいっぱいなんだわ。
おまえの教育係なら、まずはおまえのことを第一に考えて行動しないといけないのにさ。
ここに来てからの私は、私の考え優先で動いてた」


だから

ルカの本当の想いにも気づかなかったし

こんなにルカの心が変化していたことにも

気づかなかった。



「まだそんなこと言ってんのか」