ゆっくり開かれるドア。
怖くて
中々部屋の中を覗くことができない。
“一度死んだ人間が、またこの世に現れるわけがないだろう”
本当だとは思えないルカの言葉。
だって、私は何度かチヅルさんと会い、話をしたんだ。
この目でしっかり見たし
この手で、チヅルさんの体にも触れたし。
チヅルさんのルカへの温かい想いも、きちんとこの耳で聞いたんだ。
私が見たチヅルさんは、まぼろしなんかじゃない。
まぼろしなんかじゃ……
「………。」
ルカのあとを着いていき
ルカが足を止めると、私も足を止めた。
「これが、俺の、母上だ」


