ルカは、廊下の途中で足を止めた。


特に何もない廊下。


何もないはずなのに。


ルカが両手を軽く上げた瞬間、壁から大きなドアが現れた。



「………ッ!!!!」


このドアの形……



「チヅルさんの……部屋だ……」


ヘイリの記憶の中で見たものと、全く同じドアだった。


ルカは一度私を振り返ると、


「これから、全てをおまえに見せる」


真剣な声で。


「これが、現実だ」


真っすぐに、私を見て言った。