バタン。 と、乾いた音を残して閉まったドア。


シキの残像をボーっと眺め、両手をダランと垂らした。



「――うわぁぁぁっ!?」



突然、首筋に生温かい息がかかった。


全身鳥肌が立ち、私は首筋に手を当てながら素早くルカから遠退いた。


「ちょ……
いきなり何するんだっ!!!!」


サッと警戒態勢に入る。


「………。
貴様…少しはまともな声は出せんのか」


私の発した奇声に、ルカはげんなりと頬を引きつらせた。


「う、うるさいっ!!!!
っつーか、気配を消して近づくなっ!!!!」


「気配を消すだと?
貴様は、どこまでバカなのだ」


「はぁっ!?」


「貴様は今、悪魔の俺と密室に2人きりなのだぞ?
気を抜いている貴様が悪い」


「だぁっ!!!!
ちょっ、近づくなってっ!!!!」


ジリジリと近づいてくるルカ。


もう二度とルカに背中を向けないよう、横目で後ろを確認しながら少しずつさがる。


しかし……


ドン――…

背中に壁がつき、行き止まり。


どんなに広い部屋だと言っても、これだけルカが近くにいたんじゃ身動きが取れない……