「――ッ!!
ルカ様っ!! 何て事をっ!!」
目を丸めてルカの傍に走ってきたのは、シキだった。
尋常じゃないルカの瞳を見たシキは、すぐにチヅルさんの傍にしゃがみ込みチヅルさんの傷に手を当て止血をした。
「チヅル様っ!!
しっかりなさってくださいっ!!
今、止血をします。大丈夫ですから、気をしっかりっ!!」
慌てるシキ。
数人のメイドさんはパニックに陥りながらも、医者を呼びに行ったり、応急処置ができるよう救急箱を用意したり、慌ただしく走り回っていた。
ルカは、ただ、床に横たわるチヅルさんをジッと見ていた。
無表情で、微動だにせず。
色のないこの世界では、ルカの瞳の色をきちんと確認することはできなかったが
いつもより少し、濁っているような気がした。
とうとう、チヅルさんを斬ってしまったルカ。
信じられなかった。
いくらヘイリの命令だからと言って、本当に斬りつけるなんて。
おまえの母親だろ。
お腹を痛めて産んでくれた、この世にたった一人の母親じゃないかっ!!
どうしてだよ、ルカっ!!
少しは躊躇しろよっ!!
どうして、こんな簡単に……



