私は、歩き出したシキを引き止めた。


「あの、最後に質問いい?」


「ええ、結構ですよ」


「ここはどこなの?
明らかに日本じゃないと思うんだけど」


私が聞くと、シキはフフっと笑った。


「ここは、サラ様が暮らしておられる街でございますよ」


「え?」


「サラ様のご自宅からも見えるでしょう?
緑いっぱいの大きな山が」


……山?

山って、私が通ってる高校の裏にあるあの山?


「うそ!!
だって、あの山にはなにも建物なんてなかった」


またシキがフフっと笑った。


「結界を張っていますので、人間からは見えないのでございます」


ああ、そう。

もう、不思議な言葉には驚かないぞ。

結界ね……

この世界では、普通なんだよね……



「さぁ、ルカ様がお待ちです。
そろそろ、行きましょうか」



私は、シキに案内され“ルカ様”の待つ部屋へと向かった。