「あの……
魂を売ったというのは?」


眉間にしわを寄せながら聞くと、シキは一呼吸置いてまた話し始めた。


「人間界でも聞いたことがあると思いますが、悪魔は人間の血を吸って生活しているのです」


ああ……

確か、梓から借りたあのマンガの表紙にもそんなことが書いてあったような。


「……って。
えぇぇぇぇぇぇっ!!?
それじゃ、みんなそのルカってヤツに血を吸われたってこと?」


シキは、コクリと頷いた。


「それも、女性自ら血をルカ様に差し出したのでございます」


「なぜ……?」


「ルカ様に恋心を抱いてしまわれたからです」


「はぁ…そうなんですか。
それで、その血を吸われた人達はどうなったんですか?」


「私が女性達の記憶を全て消し、人間界へ戻しました。
あ、それと。
血を吸われたからと言って、女性たちの体には何の問題もありません」


「へぇ」


「恋愛がいけないというわけではないのですが、ルカ様の心が全く開かぬまま女性だけが恋心を持ってしまわれたのです。
それでは、ルカ様には何の教育にもなりません。
ですから、今回はサラ様のように恋愛に対してあまり興味をお持ちでない方が必要だったのでございます」