私の牢屋の前まで来たヘイリ。


睨みつける私を見て、フンと鼻で笑った。


「今からそんなに気を張り詰めていると、後々キツクなるぞ」


「ご心配、どうもありがとうございます」


私が低く言うと、ヘイリは更に口角を上げた。


「私はこれから何をすればよろしいのでしょうか」


「ほお。
一人ここに残されたというのに物怖じせぬとは。
これは期待できそうだな」



相変わらずヒトをバカにしたような笑みを浮かべるヘイリ。


私はジッとヘイリを見据えた。


心を乱さないよう。

“自分”を、見失わないよう。


ヘイリはパチンと指を鳴らした。


やっぱりすぐに現れたのはセドリックで。


一体、どのようにしたらこんなに突然現れられるのだろうか。