My Romeo & Your Juliet 【完】

「まだわかんないの?」

一呼吸置いて、岡崎先輩ははっきり言い切った。

「この役、お前にピッタリだから。お前なら素でできるだろ」



あたしはどんな言葉を期待していたんだろう。

『いじめられっ子がピッタリ』って先輩の言葉が、胸に突き刺さる。

『俺の相手役は、お前しかいない』とか甘いセリフを言ってほしかったんだろうか。



「やっぱり…あたしにはできません」

あたしは握りしめていた台本を降ろした。

自分は華があるヒロインってキャラじゃない。

先輩は、あたしに魅力を感じてスカウトした訳じゃないんだ。



「あたし…演劇なんて無理です」

あたしはうつむいたまま、岡崎先輩に台本を突き返した。