「アナタ誰デスカ?」


あ、誰だけ発音良かった。


「アナタノアイシテヤマナイ、キョウジュデ~ス!」


いやいやいや。

本当に誰ですかあなた。

もはや外国人ですか。

あたしの愛してやまない人は、れっきとした日本人ですが。


あっ…


愛してやまないなんて…


やばい…。

勢いにのって考えてたら、さらっと愛の告白を…


顔が赤いかもしれない。


「アナタカオガ、アカイデ~ス!」

「ウルサイデスッ!
ヘンタイ!」


巻き込まれてついにあたしまで片言に…。


もうやめてくれ!!
ヘンタイさん!


「ヘンタイ…ヘンタイ…ヘンタイ…」

ぶつくさ言いながら、楽屋出てっちゃったよ。
あの片言うるさい変態野郎。


うん。


あ~静か!


落ち着く。


…さっ、パンフ読もう。


…へ~こんな海きれ…バタン!!


突然ドアがバタンと開いたからそっちを見ると、あの、片言うるさい変態野郎がこっちを見てる。


なんでこう…

パンフ見ようとしたら、入ってくるかな。


くそぅ!


なんて思ったので、片言うるさい変態野郎の顔がドアに思いっ切りあたるように、バン!と閉めてやった。


案の定、


「グワシッ!!」


と言いながら、激しい衝突音を発し、ズルズル落ちていく音がドアの外からしている。



あぁ恐ろしいわ。

ドアの外ではどうなってるのかしら。

知りたくもないわ~。


さっ。

気を入れ直してパンフ、パンフ…。



バン!!



また!?

ドアが開いて、そこに、片言うるさ…

名前が長い!

片言でいい!!

ドアが開いて、そこに、片言が立っている。


それから撮影が始まるまで、あと3回くらい繰り返していた。