―ピーンポーン


「りゅうく~ん」


チャイムを鳴らして声をかけると、間もなくして扉が開いた。


「直接来たのか」


あたしの制服姿を見て開口一番そう言う。


「そだよ。お買いものしてきたの」


「そうか」


優しく笑って頭に手を乗せる先輩に、思わず抱きついた。

抱きつき魔でもいいんだ。キス魔よりマシだし。


「…ま、上がれ」


「うんっ」


背中をぽんぽんたたいて先輩が言った。

袋をガサガサいわせながら靴を脱いでいると、ひょいっと袋が取り上げられた。


「先入るぞ」


そう言って、荷物を持ってリビングに入ってしまった。


「……」


黙ってその方向を見つめながら急いで靴を脱ぎ、小走りに後を追った。


「ねえね! 和風洋風中華どれがいいー?」


少し声を張り上げてそう問いながら…。