ふふって軽く笑って椅子の背にもたれた辻之内。そして、いつもの淡々とした口調で話しだす。


「完全には読めないとしても、どんな気持ちで話を聞いているか。聴き手は、話し手のことをどう思っているか………くらいは推測できるかな。あくまで推測だけどね」



“キス”

だなんて、そんなわけないのに。恥ずかしすぎる。

もう少しで破裂寸前だった妄想心に、穴があったら入りたい気分。

“どんな気持ちで話を聞いているか?”なんて本当にそんなことがわかるんだったら、辻之内にあたしの心が読めるんだったら………。

明日から、あたし生きていけない。