「時田」


そんなに甘く囁かないで。


「……なに?」

「あのさ」


唇に、ふっと吐息がかかった。微かな刺激に体が跳ねそうになる。


「……辻之内?」


ねぇ、この展開、このまま受け入れていいの?



「…………」

「…………」





と思ったら、静かだった辻之内が突如口を開いた。


「これってチョコ?」


チョ、チョコ?


「え?」

「時田の口の横に付いてるのって、もしかしてチョコレートかなって思って」


と小首を傾げられる。


チョ、チョ、チョコレートー!?


「………、………。

 あーーっ!!!」


もしかして、今朝リカと食べたポッキーのチョコのこと?


「ついてるよ」

「/////」


もうっ、やだー。確実に顔から火が出てるよ……。